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岐阜地方裁判所の訪問



(コメント)


佐藤ゼミでは、岐阜地方裁判所で行われる裁判の傍聴に毎年のように出かけます。家庭裁判所やラウンド形式の法廷を見学したり、裁判官や事務官から仕事や採用試験のお話を伺ったりしています。

今回紹介するのは、ゼミの主催ではありません。1999年に岐阜弁護士会が主催した裁判傍聴会に参加した「三輪聡史」君がまとめたものです。読まれた方はぜひ、「フリートーキング」(喫茶室)に感想を寄せてください。


(本文)


普通の生活をしている人が、裁判所へ出かけることはほとんどないと思います。どちらかというと「近寄りたくないところ」といった方が良いかも知れません。しかし、私は、せっかく大学に入り法学部に在籍しているのだから、学生のうちに一度は行っておきたいと思っていました。そんなおり、先生が、「岐阜弁護士会が主催する裁判所の見学会がある」という話をされたので、参加することにしたのです。

この裁判傍聴会は、岐阜弁護士会が主催したものですから、弁護士の先生からじかに裁判に関するいろいろな説明を聞くことができました。平日にもかかわらず、かなり多くの見学者が集まっていました。弁護士会館の入り口で数種類のパンフレットをもらい、講堂で、主催の趣旨について説明がありました。現在の裁判制度は、解決までの時間が長すぎますし、形骸化しているため、弁護士会も改善に向けて積極的に取り組んでいますが、裁判制度を見直し、新しい制度を作るには、国民の理解と協力が必要不可欠だというのです。このような傍聴会は、一般の方々に裁判の現状を見てもらい、私たちが提案する司法改革案に対する支持者になってもらいたいという気持ちからやっているのだそうです。

パンフレットには、傍聴に際してのマナー(注意)や、刑事手続きの流れ、起訴状の例文や裁判に関連する法規が書かれていました。傍聴する前に必要な最小限の知識を押さえておくと、検察官や弁護士、裁判官の法廷でのやりとりを理解しやすくなるためです。話しなれている弁護士の先生であったため、やさしくわかりやすく、ポイントをついた説明でした。

其の後、会館を出て、裁判所まで数分歩きます。法廷に入るとテレビで見なれてはいても、言葉に表せない独特の雰囲気を感じました。検察官の説明から、この日の被告人は、覚醒剤の使用で逮捕され、これまで何回か更正するため施設に入った人のようでした。情状を酌量してもらおうというのでしょうか、妻と義父が呼ばれ、妻が泣きながら生活の状況を語っていたのが強く印象に残っています 被告が再び薬物に手を出さず、更正し社会復帰できるかが問われていました。

長い裁判ではありませんでした。しかし集中して聴いていたため、あっという間に時間が過ぎたように感じます。もう一度会館に戻り、講堂で弁護士の先生が、解説してくださいました。さらに弁護士の生活についても話してくださいました。それによれば、仕事に絡んで脅迫地味た電話を受けたり、裁判の結果に納得できない人から苦情を言われたり、エリートの職業といわれる弁護士も結構大変な商売であるように感じました。


弁護士が目先の利益を追わず、小中学生を相手に裁判や法律の啓蒙活動に努めているという話を聞くと、私たちが法律や裁判に無関心で過ごしてきたことが恥ずかしく思われます。私たちは、国民として自分たちの制度を監視し、国民の誰かが泣いていることを思いおこして、司法改革に前向きに取り組み、発言してゆくべきでしょう。今回の参加は私にとって当初の期待に違わず、本当によかったと感じています。



執筆者:三輪聡史









岐阜刑務所の見学



(執筆) 斎藤雅人・川真田直己



 2000年11月1日、私たちは、佐藤先生、西牧先生、比嘉先生の引率で岐阜刑務所へ出かけました。刑務所を見学するには、前もって、氏名、住所、性別、年齢などを所長宛てに申請しなければなりません。刑務所は裁判所のように社会一般に公開されている場所ではありません。学術研究など特別な事情が必要ですから教授の引率が必要になってくるのです。

 当日は、雨がひどく降っており、最悪のコンデションであった。バスを使った場合、穂積駅からJRで岐阜駅ヘゆき、ちょっと離れている名鉄の新岐阜駅前のバスセンターまで徒歩でゆくことになる。岐阜バスの乗車時間も40分くらいかかる。バスの本数が少ないため、集合時間までに行くにはかなり早い時間のバスに乗らなければならない。現地でのタイムロスも大きい。しかもバス停から刑務所までかなり歩かなければならない。刑務所はわざと交通が不便なようなところに作っているらしい。しかし、車でなら、朝日大学から直接現地に向かうことができるから、所要時間は40分見れば良い。午前の講義を抱える私たちにとって、車の選択がベターということになる。

 私は友人の車の助手席に座ってナビゲーターを務めた。田んぼの中にそれらしい建物がぽつんと立っていた。どうやらそれが刑務所らしい。あらかじめ話が通じていたので、守衛から連絡を受けた刑務官が会議室に誘導してくれた。

 まずビデオを見せてもらった。このビデオは、受刑者の一日を紹介したものであったが、「やらせ」くさい感じを受けた。岐阜刑務所はLB級受刑者(執行刑期8年以上で犯罪傾向が進んでいる者)を収容している。705名のうち100名ほどが無期であり、殺人や強盗、覚せい剤ではいっているものが多い。

 これら長期受刑者のため、次なような方針で処遇が行われている。

1. 施設の社会的な役割を踏まえ、規律・秩序を厳正に維持すると共に適正な処遇を行い、受刑者の社会復帰を円滑に行うよう努める。
2. 被収容者間の人間関係と各人の感情、情緒、態度などに留意し、きめこまやかな処遇を実施する。
3. 労働の意欲および習慣を重視し、これを身につけさせるため、作業指導を行う。
4. 円滑な社会復帰を可能とするため釈放前の教育の充実を図る。

 刑務所は受刑者の自由を奪い窮屈な思いを抱かせるという意味では「罰する」ところといえるだろうが、収容期間を利用して社会復帰のため教育を受けさせる意味が強いから、「応報刑」と呼ぶべきではないように思われた。

 受刑者の一日は早い。平日は6時30分に起床し、40分から50分までに朝の点検がある。このとき体調などを聞く。7時から30分以内に朝食を取り、7時30分には出勤して、7時50分から作業を開始する。この前に機材の点検もしなければならない。12時まで働き、昼食を取り、12時40分から午後の作業が始まる。16時30分に作業が終わるから8時間労働が守られている。午前と午後にそれぞれ15分間の休憩がある。その後17時10分から夕食、21時の消灯まで、手紙を書いたり、テレビを見たり、読書をしたり、自由に過ごすことができる。土・日・祝日は、塀の外の人と同様、免業日になる。しかし、起床は6時30分であり、朝食・昼食、夕食の時間も変わらないから、昼まで寝られるわけではない。

 刑務作業で作られた製品は、きちんとした手順を踏んだ手抜きのないものとして信用があり、鎌倉彫りや春慶塗、七宝、革靴などは売られて刑務所の維持費の足しにされたり、味噌・醤油などは全国の刑務所で使われている。もちろん、食事の支度や洗濯、修繕なども収容者が分担して行う。

 ビデオの後、所内の見学になる。刑務官が列の前後につき、女性は列の中央にいれる。二重扉になっていて、第一の扉が開いても、第二の扉は閉められたままであり、第一の扉が閉められた後、第二の扉が開く。扉の開閉は刑務官の鍵と指紋によって行われるから、鍵を奪っても扉をあけることはできない。この扉のため、脱獄した受刑者はいないとのこと。作業所では、受刑者は私語もなく黙々と作業していた。もっとも、若そうな受刑者数人が部屋の中から私たちを見て、声をあげていたが、防音になっているらしく内容はわからなかった。休憩中と刑務官は言ったが、そうだろうか。

 食堂の前には、その日の食事がケースに入っていて見られるようになっている。漬物や味噌汁のほかフライや焼き魚があったりして、結構良い食事をしている。刑務官は、「材料を業者が勉強してくれる」からといっていた。浴室は入れなかったが、「作業後の裸体検査」は、凶器を持ち出させないようにするため安全の見地からいまでも行われているようであった。運動場はあいにく雨であったため使われていなかったが、屋内の講堂では、受刑者がランニングをしたり、身体を動かしている様子を窓越しに見ることができた。

 受刑者は、6・7人が一部屋で生活する。テレビやトイレがあり、布団が上げられ、持ち物が良く整頓されていた。独居房や反省房などは、見ることはできなかった。独居房には作業にでていない受刑者がおり、反省房にも受刑者が入っているためといっていた。プライバシーの見地かららしい。

 その後会議室へ戻り、質疑に入った。出所後のケアーについて質問があり、保護司が世話をしたり、組員の組抜けをバックアップしてやったり、結構、社会復帰に関係者が真摯に取り組んでいる様子が伺えた。長期の受刑者については掛け金を支払っていないため年金の受給に必要な期間を充足できないことが起こり得るということであった。生活保護で対応するのだろうが、国として無策のままで良いのだろうか。受刑者の人権の観点から考え直す必要がありそうに思われた。

 このようにして見学は行われました。社会に出て後、普通の生活をする限り、関わることなく終わる場所を、今回見る機会を与えてくださった朝日大学の先生方、また卒業生を含む刑務所の方々のご配慮に深く感謝申し上げたく思います。





名古屋地方裁判所・高等裁判所・弁護士会館の訪問



 
 2002年5月17日は、ゼミの社会見学会として「名古屋」で裁判の傍聴を行った。参加者は20名。ゼミ生のほか、1年次演習の履修者さらに他のゼミの履修者などが加わった。大学を12時19分のバスで出て、37分の新快速、名古屋からは桜通線で2駅目の「丸の内」で降りる。名古屋弁護士会までは、ちょっと歩く。雨模様の天気だったが、地下道を通って1番出口から並木道の下を名古屋城の天守閣のある方向に向かう。13時30分ころ到着。3階の小会議室にはすでに学生が2人来ている。籾山ゼミと大野ゼミの学生さんだ。その後、西牧ゼミの2人など加わり、ほほ全員がそろったところで、弁護士が登場。石原弁護士と近藤弁護士。石原弁護士は朝日大学大学院教授(慶應大学名誉教授)の石川先生の下で勉強されたことがあるとのこと。こんなところで慶應の関係者に会えるとは。

 簡単な説明の後、2組に分かれて、裁判所の建物とつながる通路を通って、5階の地裁の法廷のあるところで降りる。地裁の法廷は20数人しか入れないためだが、すでに13時50分になっており、13時から始まっていた法廷の一つは終わっていた。たまたま席が空いていた「詐欺および詐欺未遂」が裁かれている法廷に全員で入ることができた。ちょうど証人尋問が行われており、刑務官に挟まれて被告人が傍聴席のすぐ前に座っている。手が届くところにいるのに圧倒される。検察官が2人。弁護士が1人。司法修習生が弁護士の席に続く奥の方に1人。廷吏はいなかった。裁判官と書記官は法服を着ているようだった。検察官の一人と書記官と速記官はいずれも女性。裁判の現場でも女性の進出が著しいようだ。ドラッグパーティで被告人が逮捕されたようで、証人はその参加者らしい。被告人から客を紹介してほしいなどと持ちかけられており、被告人がドラッグの販売者のようだ。麻薬と麻薬類似の効果の違いなどを弁護士が証人に質問しているから、商談ができたのに「物」を渡さなかったのか、まがい物を渡したのか、そんな事件ではないだろうか。30分位したところで隣の法廷で刑事事件が始まる。大半の学生は移動して器物損壊事件を傍聴した。こちらは事件をすべて被告人が認めており1回で結審。判決言い渡し日が指定された。被告人が弁護士の前の席に座っているところが前の法廷と違う。弁護士との打ち合わせがしやすくなり、こっちのほうに合理性があるように思われる。

 その後、再び会議室へ戻る。弁護士会の広報関係者が用意した資料は、よく整っている。「民事・刑事裁判の流れ」、「弁護士さんちょっと相談」、「ひまわり」、「えせ同和行為」、「困っていないで相談を」、それにシャープペンシル1本をもらった。裁判の内容について両弁護士が説明し、その後、学生から出された質問に丁寧に答えてくれる。和解、高裁の法廷と地裁の法廷の違い、など。定刻どおり15時30分に終了。

 10名ほどが、道を隔てた三の丸会館に移って、遅い昼食をとる。参加者は、ドラマとは違う裁判の迫力、弁護士の誠実な対応に一応に感動していた。16時50分ころ解散。まずまずの成果。